性質の通りに生きると才能は発揮される

数カ月前、サラリーマン時代の知人が逮捕されていたと知る。

特に驚きはなかった。むしろ、これからこそが彼の人生を豊かにするようにすら思えた。

ちょっと才能の発揮どころを間違ったに過ぎない。いや、ある意味では間違ってすらいない。

むしろ彼は性質の通りに歩んだのだろう。不幸があるとすれば、軌道修正してくれる友がいなかった点だ。

私は些か現代日本に蔓延る巨悪を前に毒気が抜かれたのかもしれない。以前の自分では考えられない視点だ。

彼とはもちろん仕事で一緒に何度も絡んだことがある。新幹線で共に本社まで足を運んだことも何度かある。その際に色々話もした。

共に出た会議の後、彼は私を呼び止め 「なんだ、言えるんじゃないか。あれでいいんだよ。どんどん言ったれ!」 と笑顔で力強く助言をくれた。

人間的な好き嫌いで言えば、私は好いている方だった。

人は重複行為を避ける。彼は明らかに私とは真逆な性質をもつ人だった。そこに惹かれたのかもしれない。

当時不思議だった。

彼みたいなタイプが机に座ってスケジュールを組んでいることに違和感をおぼえた。

明らかにデスクワークが似合わないし、その才覚も感じられなかった。

どちらかと言うと芸能事務所等、人間力を使った切った張ったの世界で生きる人に思えた。またそうした才能があると感じていた。

実際その部分で彼は地位を勝ち得ていたと思うし、そしてその才能こそが社会で最も強き才能の一つであるだろう。

伸るか反るか、半は丁か、細かいことなんてどうでもいい、やるのか?!やらねーのか!?そういう人に思えた。

今の政治家のしていることや、某巨大企業らがしている無関心なまでの間接的大量殺戮に比べたらむしろ人間的ですらある。

しかし当然ながら社会に生きる上ではその制裁を受ける。社会とはルールが規範だからだ。

しかしどうだろうか?

国のトップ達は率先して自らの欲望の為にそのルールを破って挙句に 「俺がルールだ!ルールが間違っている!」みたいなことを平気で言っちゃったりする。

罪深さで言えば彼らの方が遥かに罪深く社会的責任を問われるべき存在であるだろう。

権力者による巨悪や、責任者なき組織的悪行を思うと、やっぱり彼のしたことは大したことには思えない。

いずれにせよ、本人が望むにせよ、望まざるにせよ、社会的責任は付き纏う。

やったことはなかったことには出来ない。

チャップリンの映画「殺人狂時代」の名台詞「「一人殺せば犯罪者だが、100万人殺せば英雄」が思い出され胸が痛む。

かの台詞はベイルビー・ポーテューズの言葉を消化し昇華させた言葉と知る。今の日本にはびこる盗用とはわけが違う。

ベイルビー・ポーテューズ(元英国国教会牧師)「人を一人殺せば人殺しであるが、数千人殺せば英雄である」

アイヒマン「百人の死は悲劇だが百万人の死は統計だ」

スターリン「ひとりの死は悲劇であるが、万人の死は統計でしかない」

多くは我田引水にしか私は思えない。ようは 「俺は間違っていない」 という言い逃れである。チャップリンぐらいだ。胸に響くのは。それは自らはそうした行為をしていないからだ。

彼らの多くは行為主体者である。彼らが真にその言葉と向き合うのなら行為主体者である自らが言えないことを理解するだろう。にも関わらず、言ってしまっている時点で我田引水だ。

ただ彼らはこれでもマシかもしれない。そこが恐ろしい。ある意味では暗に自覚しているからだ。

そうした背景を思えば彼のしたことがどれほどのものだろうと思う。もともとが歪んだ人間ではない。歪みは直しようがないと思えるほど強固だ。その点で彼は違う。歪んだ人間というのは恐ろしい。全てが歪んでいく。そしてその歪みを自らは知り得ない。一旦を発揮したに過ぎないとしか見えない。どうあれ人の利益は常に相反する。

素直に才能を発揮すると、人は素直な人生を歩めると思う。それが当人にとっては最大幸福な気がする。ところが素直に生きるのは難しい。親や大人達や社会が歪めるからだ。故に素直に生きるには心の強さが不可欠である。ともろが精神の強弱は悲しいかな才能である。才能なき者は、理力を鍛錬し心の構えを意図的に創造せざるを得ない。挙句その道は生易しいものではない。でもやる価値はある。人は真に目指す価値ある道に思える。恐らく、その結果として宗教という分野が出来たのだと思う。そして、それはそれで歪んでいく。

彼は人間力があるので再び翼を伸ばせるだろう。

そしてソコからがある意味では彼の才能の見せ所であり発揮どころのように思える。

 

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