アニメ:業界の光と影、クリエイターの道

若年層アニメーターの生活実態調査を公表 家族から経済的援助を受けている者が半数以上

https://animeanime.jp/article/2016/12/13/31741.html

「特定非営利活動法人 若年層のアニメ制作者を応援する会」(AEYAC)は、若年層アニメーター生活実態調査の結果速報を公開した。回答者の半分以上が家族からの経済的援助を受けながら働いていることが明らかになった。

AEYACは支援活動の一環として、経験年数3年以内のアニメーターを対象に労働実態・生活実態についての調査を実施した。その第1回となる2016年度は、インターネット調査にて153件(男性29%、女性69%、その他2%)の回答を得た。
実家暮らしの回答者は全体の35%で、その全員が「主な家計支持者ではない(世帯の主たる稼ぎ手ではない)」と答えている。さらに「実家暮らしではないが仕送りを受けている」回答者は18%のため、計53%が家族から何らかの経済的援助を受けて働いていることが分かった。
実家暮らしではない者のうち58%は「生活のために貯金を切り崩したことがある」と回答。家賃を負担している者のうち、最も回答が多かった金額は「3万円から5万円未満」で32%だった。

P.A.WORKS 2016年 忘年会挨拶

http://www.yetyou.jp/?p=9472

一方、アニメーションの制作スタッフとして食べていくということの難しさは、昔からあまり変わっていません。個人的な話ですが、厳しい業界なことは覚悟してアニメーションの仕事に就きたいと僕が言ったとき、兄貴に「食えなきゃ夢を見続けることはできんぞ」と言われたことを覚えています。その通りです。厳しいながらも30年近く何とか食べて、夢を見続けてきました。
若い頃に監督が「地獄へようこそ。業界の常識は社会の非常識」と笑いながら現場に迎えてくれました。その通りでした。それが僕には合っていたのかもしれません。僕にはサラリーマンのような仕事はできなかったと思います。若い頃からとても長時間働いたけれど、どこか緩い業界だから、人間としてネジが何本か外れた僕でも務まったと思っています。そして、僕が見てきた多くのクリエイターも、サラリーマンのような仕事ができない人がはっきり言って多かったです。

幸福ランキング、日本51位=最も幸せなのはノルウェー-国連報告書

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032100186&g=soc

 上位5カ国のうち4カ国を北欧諸国が占め、前年首位のデンマークが2位、アイスランドが3位と続いた。報告書は「上位4カ国は、社会福祉や自由の度合いなど幸福に資する主な要因の全てで高評価だった」と指摘した。下位5カ国は中東アフリカ諸国が独占した。内戦下のシリアは152位、南スーダンは147位。米国は14位、韓国が56位、中国は79位だった。

(ジュゲの感想)

日本のアニメが今ほど世間の注目を浴びた時期は無かったように思います。嘗て私の周囲では、アニメを見ている=餓鬼、低能と言われたり、罵られ、辱められることが普通でした。アニメは小学生以下が見るものとの認識でした。よく馬鹿にされたものです。その結果として、見ている者もまた敵に回るわけです。裏では見ている癖に「アニメなんて見てるのが馬鹿じゃない」とか言って笑うわけです。オタクがオタクを嫌悪するのと同じ構図なわけですが、私は堂々と見てましたので釣瓶撃ちでした。最も醜いのがこの近親憎悪でしたね。本当に見て無くて興味の無い人は子供が体制に迎合するような弱さで発言しているのが伺えるのですが、羞悪で醜いのが裏ではアニメ見ている人でしたね。というより、そういう人間性なんでしょうが。

それがここまで隆盛を極め、映画がのべつ幕なしに公開され興行的にヒット。世界的にもかなり広まり、海外のアニメリアクションまで放送され、クールジャパン(笑)とまで言われています。それでも変わらないのが日本のアニメ業界のようです。私は2つの面でこのニュースを読みました。1つは、これを景気にアニメ業界が海外のアニメ会社のように普通の会社として真っ当に生まれ変わる最初で最後のチャンスだという面。一般の目からこれほど注視されることはそうありません。これは良くも悪くも働きます。よって流れを変えるチャンスでもあります。毒を一気に排斥するチャンス。その一方で、だからといって普通の会社になったから面白いアニメが出来るのだろうか?という2つ目の視点です。

昨今、私は世界のクリエイティブ表現がつまらなくなったと感じている一人です。その理由は利益活動が要因と感じています。まず「食えるか食えないか」「利益ありき」の発想。これは創造活動において最も真逆な発想です。ボブ・ディランも同じようなことを書いていることを知りました。2本めの記事にあるように「地獄へようこそ」この一言が体現しています。地獄とわかってなおも就職してしまう。そこには魅力があるからです。「売れるとか売れないとか」そういうのはともかく「アニメを作りたいんだ!」という、その人の業のようなもの。創造活動、創作活動というのはその業のようなものあって初めて面白いものが生まれるように感じます。

高度に分業化され快適な環境で「どんなアニメ作る?」という中にはそうした業のようなものはありません。それは単なるベルトコンベアです。そうしたものがそういった会社のアニメには見られます。「よく出来ているのですが何も残らない」これに尽きます。アクというかクセというか、苦味というか、そういうものがあって初めて刻まれる感動があるように思います。それこそが個性です。売れるとか売れないとか、食うとか食えないとか、それは結果であり活動とは分けて解決すべき問題なのです。だから最初に「食えるだろうか」と思ったら辞めた方が本人の為です。あくまで遊びとして続けていく方が幸せに思います。私は高校生の頃、映画会社で働くことを夢見た時期があります。親に「食えないぞ」と言われ、「ま~・・・そうそうだろうなぁ」と解っていたつもりが考え直して、大学卒業後に普通の企業に務めました。そんな人間は土台無理なんです。今でも辞めて我ながら正解だったと思います。

会社に務めながらも創作活動は出来ます。それでいいんです。私の失敗は全て捨てた点でした。プロになれないのなら素人で続けても無意味。そう考えスッパリ斬ってしまいました。今にして思えば死ぬまで素人で続けたっていいんです。誰に迷惑かけるでもなければ。いや別にかけたっていいんですよ。今の日本アニメが本当にクールジャパンかと言われると私はNOです。世界にある芸術にまで昇華したアニメをそういう方々は知らないのだろうなぁと思います。あそこまでいってクールジャパンと言える。日本のアニメは何時までたっても隅っこで遊んでいるのがいいんですよ。漫画もそう。ルーブル美術館で第八の芸術、バンド・デシネと言われるような代物じゃないんですよ。あれは結果論だからいい。ドヤァ・・・ってなんた時点で田舎もんです。

これから始める方や、今やっている方はそのスタンスを見極める必要が出て来ると思います。日本における漫画やアニメの始まりを見ればアート、芸術じゃないのがハッキリしてます。あくまで日本の話ですが。北斎だって最後まで書いたのは漫画でしたが、それは気が抜けているから楽しい。気軽にやれる。故に続く。だからこそ日本の漫画やアニメは異質と感じられるのだと思ってます。故に面白いんですよ。「日本ヤバイな」ってなるんです。彼らからしたら異常なことですから。それを笑顔でやってしまう狂気。コミケ文化にしてもそう。どこまでいっても素人芸。それが良い事もある。今やコミケはプロ化してしまっているそうですが、まだ業者、プロ、素人が混在し、素人の方が多いんでしょ?これ逆転したら終わりだと思います。何事も企業化したらつまらなくなります。現在の日本アニメの製作委員会方式のマズさが海外から指摘されています。日本のアニメがつまらなくなってきた要因に挙げられている。当然です。企業の成功は利益を上げることであり「面白いこと」ではないからです。魑魅魍魎が作品を起点に利益を食い散らかしたような作品が面白いわけがない。でもそうした玉石混交もまた日本アニメならでは。

これは難しいですね。この二つの視点は融合しませんから。利益を追求すればつまらなくなる。個性を活かすと利益から遠ざかる。だから昔の日本や中世のように、金持ちが作家や面白い企業を支えるという図式が一番健全なように思いますけどねぇ。何せ昔の金持ちと違って今の金持ちは質がわからないようですから。昔の金持ちは教養や遊びを楽しみ、今の金持ちは金にしか興味がない感じを受けます。

最後の記事は、これまでの持論をある意味では示したもの。小さな国の適度な貧しさが人を幸福にさせる。これはまさに創作活動にも言えることです。組織が大きくなると隣の顔が見えなくなります。小さいウチは顔が見える。そこで人間的化学反応も生まれる。そこには幸せが生まれる土壌がある。金が出来ると人は金に執着していく。無くても執着していく。食べられるけど余裕は無い。それぐらいがいいんでしょうね。わかりませんが。知人の社長が1000万年収あるのですが言ってました。「1000万円程度が一番貧乏なんだぞ。1500万の人とも付き合わないといけない。1000万以下の人と一緒になると奢らないといけない。驚くほど金が出るから」とおっしゃってましたね。かといって年収200万だと食っていくことも厳しい。300万でも大変ですよ。だからデフレは国民の要求で正しかったのに金持ちはこまるから某国の首相が馬鹿なことをやり出す。挙句に何故か国民も支持し(まあ、わかってないんでしょう)どんどんGDPが下がり、光熱費は上がり続け、国民の財布を勝手に無思慮に運用し巨額の損失を出す。今の日本は収入に対して、物価や居住に纏わる費用や光熱費が全く合わない。

それにしても日本のアニメ業界はもう少しね~・・・どうにかならんものか・・・他人事ながら心配していします。何せ崩壊したら元も子もないないですから。少なくとも殺しても死なないような人じゃないと無理なんじゃないかな・・・。それは今の企業にも言えることですが。クロネコヤマトが業務改善を決意しました。英断だと思います。異常ですよ今の日本。これを期に、日本の企業は変わるべきです。でないと死滅しますよ。そうなったら終わりなんです。